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大きな森の木の下で 第二話


「というわけなんだけど」
その日の出来事をパルムさんに話すクリス。
最後の10数行あたりは、なんだか恥ずかしいので省略した。

「大変だったねー。怪我人がでなくて、本当に良かったよ」

「あ、うん。…そうだね」

あの後家に帰ってから、ママに一発殴られたのだが。
そこも省略しておいた。

「あの魔女、なんだったのかなあ。パルムさん、会ったことある?」

「ああ、あれはね。魔女じゃなくて、森の神様の姿だね」
ポットに入れた自家製ハーブティーに、お湯を注ぐパルムさん。

「神様?森の…?ぜんぜんそれっぽくないよ。だって前身黒い服着てたし。
 神様って、普通白い服とか着てるよね?」
そして白く長いヒゲをたくわえて、よくわからないごつごつした木の杖を持っている。
一般的にはそんなイメージだ。

意外な正体。
そんなにさらりと言われても、すぐに納得できるはずもない。

「うーん、神様だからといって、白い服を着なければいけない理由はないからねー。
 全国の神様に会ったことないから分からないけど。
 人それぞれなんじゃないかな、服装の趣味なんて。」

「服装の趣味って…。神様にもそういうのあるの?よく分かんないなあ。
 あ、でも僕らを助けてくれたんだから、良い神様だね」

「ははは、良かったね。」

パルムさんは、ドライフルーツ入りのパウンドケーキを切り分けた。

「パルムさんは会ったことある?」

「めったにその姿で会わないかなあ」

「そう…。また会いたいような、怖いから会いたくないような…」

と、床の上に寝そべっていたロビンが大きく欠伸をした。

「あ、ロビン。起きてたの。
 そういえば、ロビンは犯人じゃなかったんだよね。良かったー、ほっとしたよ」

「失敬だな。人聞きの悪い事を言うな。
 私がそんなことをするはずがなかろう」

ロビンはむっとする。

「ごめんなさい。ちょっとロビンのこと疑っちゃった」

「ふむ。まあ良いだろう。
 君の母さんにも謝ったか」

「あ、うん」
クリスは、自分の後頭部を押さえながら頷いた。

「なら良しとする。
 さて。ちょっと出かけてくる」

ロビンはのそりと立ち上がると、てくてくとドアの方へ歩いて行った。

「あ、そうだ。あの3人の男の子ね。その子達には魔女ってことにしておいた方が良いかもね」

こぽこぽと音を立てて、ハーブティーがカップに注がれる。

「え?どうして」

「そうやって恐れていてくれたら、当分この森には来ないだろうし。
 その噂でも広めてもらえれば、そうやって悪さをする人も減ってくれるかな」

「うん…」

ハーブの良い香りが、部屋の中を満たす。

「まあ、どう話すかは君たち次第だね」

「と、いうと?」

「んー・・・」

ハーブティーを一口すすると、パルムさんは意味有り気に微笑んだ。

 

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