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大きな森の木の下で 第二話


「魔女?」
食器を洗う手を止めて、パルムさんはクリスの方を見た。

放課後、クリスはパルムさんの所へ立ち寄った。
ちょうどクッキーを焼いていたところだったので、
一緒にごちそうになった後、二人で後片付けの最中だ。

「ううん、そういう人には会ったことないなあ。」

「パルムさんも知らないんなら、本当にただの噂なのかな」

クリスはテーブルを拭きながらつぶやいた。
他愛もない子供の作り話か。

「オオカミの群れならいるけどね。
 魔女とか、そういう噂作るの子供たちが好きそうだね」
「うん…。あれ、ロビンは」

オオカミと聞いて、ふとロビンの事が気になった。
大きな灰色の毛のかたまり。
ぶっきらぼうで少し怖くて、本当は優しい。
人の言葉を話す不思議な動物。
今日はまだ姿を見ていない気がする。

クリスはきょろきょろと、室内を見回した。

寝てた。

部屋の1番日当たりの良い場所で、丸くなってすやすやと
寝息をたてている。

「なんだ、そこにいたのか」

少しほっとする。

「今日はそこでお昼寝のようだね」
「そうなの、気が付かなかった…」

クリスは、ロビンの頭を優しく撫でてみた。
ふわふわの毛の感触が、手のひらに伝わってくる。

「そろそろ家に帰った方がいいんじゃないかな。
 日も暮れてきたみたいだし」

窓の外を覗きながら言うパルムさん。
空がオレンジ色に染まりつつある。

「あ、うんそうだね。
 それじゃ、ロビン、またね」

聞こえているのかいないのか、目を閉じたロビンに挨拶をする。

「それじゃあ、パルムさん。
 今日もありがとうございました。
 また来るね」

「うん、気を付けて帰ってね。
 1人でも大丈夫だね」

「はい、何回も通っているから。
 大丈夫です」
 
そんなやりとりを交わしつつ。
本日の授業は終了。

 

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